大規模数値シミュレーションと人工知能に関する研究がSC17にて受賞

米国・デンバーで開催された高性能計算に関する世界最高峰の国際会議のひとつであるSC17で、市村強准教授、山口拓真さん(博士課程1年)らの研究が以下の二つの賞を受賞しました。

■市村強准教授、藤田航平助教、山口拓真さん(博士課程1年)、堀宗朗教授、Lalith Wijerathne准教授、上田修功副センター長(理化学研究所革新知能統合研究センター)による研究が、SC17 Best Poster Awardを受賞しました。SC17のResearch Posterは高性能計算に関する萌芽的な高いレベルの研究が発表されることで知られています。本年度は、全世界から169件の投稿があり、そのうち99件が採択されました(採択率58%)。Best Poster Awardは、そのうちの1件のみに授与されました。

研究概要
受賞の対象となった成果は、京コンピュータによる大規模数値シミュレーションと人工知能を組み合わせた次世代地震動分布予測システムに関する研究成果です。京コンピュータ全体を利用して解析した地震動分布データを使って学習させた人工知能により、従来では不可能であった不確実性を考慮した地震動分布を広域において高速に推定できるようになりました。

対象論文
Tsuyoshi Ichimura, Kohei Fujita, Takuma Yamaguchi, Muneo Hori, Maddegedara Lalith and Naonori Ueda (2017), AI with Super-Computed Data for Monte Carlo Earthquake Hazard Classification.

(理化学研究所計算科学研究機構による受賞紹介)

■山口拓真さん(博士課程1年)、藤田航平助教、市村強准教授、堀宗朗教授、Lalith Wijerathne准教授、中島研吾教授(情報基盤センター)による研究が、SC17にて開催されたアクセラレータ・プログラミングに関するワークショップであるFourth Workshop on Accelerator Programming Using Directives (WACCPD)にてBest Paper Awardを受賞しました。

研究概要:
受賞の対象となった成果は、詳細な3次元地殻変動解析に必要とされる大規模・多数回の有限要素法解析の実行時間をGPUにより短縮する技術に関する研究成果です。これにより、大規模な地殻変動解析を多数回実行できるようになり、地殻変動現象の分析が進むことが期待されます。

対象論文:Takuma Yamaguchi, Kohei Fujita, Tsuyoshi Ichimura, Muneo Hori, Maddegedara Lalith and Kengo Nakajima (2017), Implicit Low-Order Unstructured Finite-Element Multiple Simulation Enhanced by Dense Computation using OpenACC.

 

なお、本研究グループの研究は2014年から2016年までに開催されたSC14, SC15, SC16においても受賞・ノミネートされています。本年の受賞研究成果はこれらをさらに発展させた成果として、今後の研究の促進につながると期待されます。

参考(本研究グループのSCにおける過去の受賞・ノミネート):
・SC14(2014)において、市村強准教授らの京コンピュータによる都市シミュレーションに関する論文がACM Gordon Bell Prize Finalistにノミネート。ACM Gordon Bell Prizeは理工学全般の計算科学では最高の賞のひとつで、毎年全計算科学分野からFinalistが3-6グループノミネートされます:

対象論文:Tsuyoshi Ichimura, Kohei Fujita, Seizo Tanaka, Muneo Hori, Lalith Maddegedara, Yoshihisa Shizawa, Hiroshi Kobayashi (2014), Physics-based urban earthquake simulation enhanced by 10.7 BlnDOF × 30 K time-step unstructured FE non-linear seismic wave simulation.

・SC15(2015)において、 市村強准教授らの京コンピュータによる統括的な地震シミュレーションに関する論文がACM Gordon Bell Prize Finalistにノミネート。二年連続でGordon Bell Prize Finalistノミネートされるにことは非常に珍しいことです:

対象論文:Tsuyoshi Ichimura, Kohei Fujita, Pher Errol Balde Quinay, Lalith Maddegedara, Muneo Hori, Seizo Tanaka, Yoshihisa Shizawa, Hiroshi Kobayashi, Kazuo Minami (2015), Implicit nonlinear wave simulation with 1.08T DOF and 0.270T unstructured finite elements to enhance comprehensive earthquake simulation.

・SC16(2016)において、 藤田航平助教(当時理化学研究所)、市村強准教授らの京コンピュータによる地殻変動解析に関する論文がSC16 Best Poster Awardを受賞:

Kohei Fujita, Tsuyoshi Ichimura, Kentaro Koyama, Masashi Horikoshi, Hikaru Inoue, Larry Meadows, Seizo Tanaka, Muneo Hori, Takane Hori (2016), A Fast Implicit Solver with Low Memory Footprint and High Scalability for Comprehensive Earthquake Simulation System.

・SC16-WACCPD (2016)において、 藤田航平助教(当時理化学研究所)、山口拓真さんらのGPUによる地殻変動解析に関する論文がThird Workshop on Accelerator Programming Using Directives (WACCPD)にてBest Paper Awardを受賞:

Kohei Fujita, Takuma Yamaguchi, Tsuyoshi Ichimura, Muneo Hori and Lalith Maddegedara (2016), Acceleration of Element-by-Element Kernel in Unstructured Implicit Low-order Finite-element Earthquake Simulation using OpenACC on Pascal GPUs.

SC17 Best Poster Award授賞式 (写真:理化学研究所計算科学研究機構提供)
SC17 Best Poster Award記念写真:左から山口拓真さん(博士課程1年),市村強准教授,藤田航平助教 (写真:理化学研究所計算科学研究機構提供)
SC17-WACCPD Best Paper Award記念写真:左から藤田航平助教,市村強准教授,山口拓真さん(博士課程1年)  (写真:NVIDIA/PGI提供)